(コラム)プロセッコはシャンパーニュより人気が高い?!

プロセッコはシャンパーニュより人気が高い?!その理由とおすすめプロセッコも紹介


世界的なスパークリングワインのトレンドでは、シャンパーニュよりプロセッコのほうが人気が高いのをご存知でしょうか?

 

プロセッコはシャンパーニュより人気

1990年代から順調に輸出量を増やしてきたプロセッコですが、2013年にプロセッコの世界的な販売量がシャンパーニュを超えたというニュースが流れました。


これにより、プロセッコは正式に世界で最も売れているスパークリングワインとなりました。

また2021年にはプロセッコDOCロゼの導入にも後押しされ、年間生産本数が6億本を超え、最近でもプロセッコは順調に販売シェアを伸ばしています。



プロセッコの人気が高い理由とは

なぜここまでプロセッコの人気が高くなったか、ご存知ですか?


人気が高い一番の理由は、そのコストパフォーマンスの高さにあると思います。

フレッシュ&フルーティーでシンプルに美味しいと言われる味わいと、お手頃な価格は、ワインに親しみのない層や若い世代にも受け入れられやすく、世界的に人気が高まっています。


この二つの特徴を生み出している大きな理由は、実はプロセッコの製法にあるのですが、それは後ほど紹介いたします。

また、プロセッコはワイン法で守られていることで、品質が保証されていることも大きいですね。

プロセッコの品質保証についても、後ほど紹介いたします。


プロセッコは品質保証されていることで質の高さが守られていること、シャルマ方式によりブドウの特徴を生かして安い価格で造ることができること、この2つがプロセッコの人気が高い理由ではないでしょうか。

また、プロセッコはシーンを選ばず気軽に様々な使い方ができるのも、人気の高い理由だと思います。


プロセッコは、華やかで受け入れられやすい爽やかなアロマがあり、親しみやすさも感じる素直なブドウの味わいが特徴です。

その味わいは昼夜に関係なく、ある時はビールのように、またある時は清涼飲料水のように飲むシーンを限定せずに楽しまれています。

また、欧州各地のほとんどのレストランにはプロセッコは準備されており、日本でもイタリア料理店以外の和食店や居酒屋、バル業態やバー・ラウンジで広がりを見せています。



さらにプロセッコは、様々な食との組み合わせがいいという特徴もあります。

ランチ時に軽く12杯、プロシュートやチーズなどのおつまみにも合いやすく、カルパッチョや魚介のフリット、トマトやオイルベースのパスタなどにも、プロセッコは寄り添います。

この様々なシーンでの使い勝手の良さでも、プロセッコは人気が高いみたいですね。


 

改めてプロセッコとは?

では、プロセッコとはどういうものかを、ここから改めて見ていきましょう。

まずプロセッコとは、イタリア・ヴェネト州で造られるスパークリングワインの一つで、シャンパーニュ、カヴァと並ぶ世界三大スパークリングワインの一つと言われています。


先ほど少し紹介しましたが「プロセッコ」という名称は、EUのワイン法(原産地名称保護制度)で守られているため、プロセッコは基準をクリアした特定の地域でしか造られないワインとして、品質が保証されています。

 

産地

プロセッコの生産が認められている産地はイタリア・ヴェネト州、ヴェネツィアの北25kmほどにあるトレヴィーゾ県の周囲に拡がります。

プロセッコが造られる生産地域は、全地域合わせて30000ヘクタールを超える広大な土地で生産されています。


プロセッコの格付けはDOCですが、その中でもコネリアーノ地区からヴァルドッビアデーネ地区にかけて東西に伸びる地域は、最上位のDOCGに認定されています。

DOCG認定の地域は、石灰質や粘土質が混ざりあう特徴的な土壌で、ミネラルを多く含んだワインが造られます。


日当たりがよく、アルプス山脈やアドリア海からの風による冷却効果で、ブドウが適度な酸を保ったまま完熟することができるため、品質の高いプロセッコが造られています。

 


ブドウ品種

プロセッコの生産に使用が認可されているブドウ品種は、主にグレラ種で、最低85%を使用することが決められています。

残りの15%は、グレラ種以外でも決められた品種のブドウを使うことが認められています。


ブレンドできる品種は、グレラ・ルンガ、ヴェルディゾ、ペレラ、ビアンチェッタといった土着品種や、シャルドネ、ピノ・ノワールをはじめとする国際品種も認められています。


プロセッコの主要なブドウであるグレラ種は、2009年までプロセッコ種という名前で呼ばれていましたが、プロセッコというワイン名を守るため、法律的にグレラというブドウ品種名に変更されました。

マスカットほどではありませんが、フローラルな品種で軽いワインが造られています。


 

他のスパークリングワインにはない、プロセッコの特徴とは?

世界には様々なスパークリングワインがありますが、その中でもプロセッコならではの特徴があるみたいです。

そのプロセッコの特徴を見ていきましょう。

 

味わいの違い

他のスパークリングワインとの大きな違いは味わい、特に残糖分の差です。

いずれも銘柄によって幅広い甘辛度がありますが、一般的なブリュットタイプのスパークリングワインは残糖分が710g/L程度で造られることが多いとされています。一方でプロセッコは(近年辛口化の傾向はありますが)おおむね12g/L以上になるそうです。


一方で、私たちがワイン中の甘みをきちんと感じられるようになる残党分の境界が、12g/L前後と言われています。

つまり、他の辛口スパークリングワインに比べると、プロセッコはほんのり甘いと感じやすいというわけですね。

 

製法の違い

次に、製法の違いが挙げられます。

スパークリングワインには、以下のようにいくつかの製法があります。


・瓶内二次発酵方式:瓶詰め後に2度目の発酵を行う方式。

⇒代表的なスパークリングワイン:シャンパーニュ

・シャルマ方式:タンクの中で2度目の発酵を行う方式

代表的なスパークリングワイン:スプマンテ

・トランスファー方式:瓶内二次発酵させたワインを別の瓶に詰め替える方式。

代表的なスパークリングワイン:ゼクト

・炭酸ガス注入方式:スティルワインに炭酸ガスを注入する方式

代表的なスパークリングワイン:低価格帯スパークリングワイン

・田舎方式:発酵中のワインを瓶詰めして、残りの発酵を瓶内で行う方式

代表的なスパークリングワイン:日本ワインの一部

 

プロセッコは、シャルマ方式の製法で造られています。

シャルマ方式では、大きなタンク内でまとまった量のワインを短期間で仕込むことができるため、ブドウ本来の香りと味わいを生かしたフレッシュ&フルーティーな仕上がりになります。


またこの方式は、シャンパーニュで採用される瓶内二時発酵方式に比べて手間がかからないため、価格が安く仕上がります。

プロセッコはシャルマ方式で造られる、これが先ほど紹介した人気の高さにつながる大きな理由だと思います。

 

プロセッコの格付け


プロセッコというと安価な大量生産ワインをイメージする方かもしれませんが、プロセッコの中にも格付けがあるのをご存知でしょうか?


1969年にDOCプロセッコが認定されて以来、安定した美味しさと親しみやすさで市場を獲得してきましたが、大きな変革が訪れたのはなんといっても2009年のDOCG認定です。


先ほど、地域によっては最上位のDOCGに認定されている産地もあることは紹介しましたが、実はプロセッコの統制保証原産地呼称の格付けはさらに細かく規定されていて、以下のように6つのカテゴリーに分けられています。

DOCGヴァルドッビアーデネ プロセッコの中には、特に際立った区画として独自のDOCG認定を受けた二つの呼称があり、それが「カルティッツェ」と「リーヴェ」です。

 

●DOCG ヴァルドッビアーデネ スペリオーレ ディ カルティッツェ

DOCG Valdobbiadene Superiore di Cartizze

わずか108ヘクタールのみ

 

●DOCG コネリアーノ ヴァルドッビアーデネ プロセッコ スペリオーレ リーヴェ

DOCG Conegliano Valdobbiadene Prosecco Superiore Rive

43地区認定されており、全て合わせて200ヘクタール程度

 

●DOCG コネリアーノ ヴァルドッビアーデネ プロセッコ スペリオーレ

DOCG Conegliano Valdobbiadene Prosecco Superiore

9100ヘクタール程度

 

●DOCG アゾロ プロセッコ

DOCG Asolo Prosecco

1700ヘクタール程度

 

●プロセッコ DOC トレヴィーゾ

Prosecco DOC Treviso

 

●DOC プロセッコ

DOC Prosecco

 

プロセッコで「カルティッツェ」と「リーヴェ」、聞いたことがありますか?

一応この二つの呼称については、以下でもう少し説明します。

 


カルティッツェ

DOCGプロセッコ全体のわずか1%のみという稀少な区画です。


場所はヴァルドッビアーデネ地区内にある、サン ピエトロ ディ バルボッツァ集落と、サント ステファノ サッコル集落に跨った地域のみとなります。

北側を囲む山が冷たい北風を遮ることに加えて、堆石土壌、砂岩、粘土質土壌が混ざった、水はけがよく保水性のある土壌が、最良のブドウができる要因とされています。

カルティッツェの畑も急斜面にあり、場所によっては70度にも及ぶそうです。

この地区のブドウが格別のワインを生み出すことは、古くからこの地方の人々の間で知られていました。

 

リーヴェ

リーヴェに認定されている区画の面積は、DOCGプロセッコ全体の中でもわずか3%のみです。


「リーヴェ」とはこの地方の方言で「急斜面のブドウ畑」を意味して、文字通り急斜面にある区画を含む43地区が認定されています。

リーヴェには、単一の村もしくは集落で栽培されたブドウのみの使用が義務付けられています。

DOCGコネリアーノ ヴァルドッビアーデネ プロセッコ スペリオーレ内にあるテロワールの違いを明確にするという目的で認定されました。

それぞれのリーヴェは、他のプロセッコにはない独自の特徴が表れたプロセッコに仕上がっています。

 


おすすめプロセッコ3

最後におすすめのプロセッコを紹介いたします。

安価で美味しいのがプロセッコ一番の魅力ですが、今回せっかくなのでDOCGプロセッコを選びました。

今回はあいにく最上級のカルティッツェは用意できませんでしたが、リーヴェは用意できますので、よかったらこの機会に試してみて下さい。

 

リーヴェ・ディ・レフロントロ・ヴァルドッビアデーネ・プロセッコ・スペリオーレ

Rive di Refrontolo Valdobbiadene Prosecco Superiore Brut Nature Millesimato DOCG

https://wine.kameyaweb.jp/aec/user/shohin_detail?item_cd=35996

 


レ・マンザーネ プロセッコ・スペリオーレ

Le Manzane Prosecco Superiore DOCG NV

https://wine.kameyaweb.jp/aec/user/shohin_detail?item_cd=56921

 

ボスコ・ディ・ジーカ・ブリュット

Bosco di Gica Brut NV DOCG Valdobbiadene Superiore

https://wine.kameyaweb.jp/aec/user/shohin_detail?item_cd=17707



今回はプロセッコの人気が高い理由について紹介させて頂きました。

プロセッコの人気の高さも、こうして見ると一過性のブームではない、きちんとした理由があるみたいですね。

またプロセッコはその人気に甘えることなく、キャンティと同じように、イタリアの安いスパークリングワインというイメージから脱却するため、さらなる高みを目指しているようです。

バローロやキャンティ・クラッシコの品揃えを充実させて、お客様に喜んで頂くことももちろん大事ですが、品質の高いプロセッコもぜひ貴店のワインメニューに加えてみてください。


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