リースリングの魅力とおすすめワイン


世界的な評価を受けている高級白ブドウ品種のひとつとえば、リースリングです。
ドイツ、フランスのアルザスのものがとくに有名ですが、各国で栽培されており、近年栽培面積も増加しているといいます。

本記事では、リースリングの基本や知っておきたい香りの知識、おすすめのイタリア産のリースリングワインを紹介していきましょう。
リースリングの取扱を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。


リースリングについて


リースリングについて知っておきたい基本情報を下記にまとめました。

・ブドウ品種におけるリースリング
・リースリングの歴史
・リースリングのルーツ

それぞれ解説していきましょう。

§ブドウ品種におけるリースリング

リースリングは、ドイツまたはフランス・アルザス地方の主要品種として知られている白ブドウ品種です。
鮮やかなグリーンの実をつけることで知られていますが、貴腐ワインの原料にも使用されるため収穫期が遅くなると黄金色へと変化していきます。
房の大きさは10cm程度と小さめ。
実自体は密着した形で成長していきます。

冷涼な産地とスレート土壌を好むといわれているため、オーストリアやカナダ、ニュージーランドで多く栽培されていますが、ほかにイタリア北部やアメリカ、南アフリカ、オーストラリアなどでの栽培も盛んです。
近年、そのフルーティーなアロマと飲みやすさを求めて温暖地域の栽培面積が広がっているところなども注目される理由でしょう。

§リースリングの歴史

リースリングの歴史は諸説あるものの、1402年にドイツのヴォルムスで書かれた文献に「Rüssling」と記載されているものが最古の資料といわれています。
ただし、1348年にはすでにアルザス地方の地図に"zu dem Russelinge"といった表記があり、これがリースリングを意味する可能性もあると示唆されています。

そのほか、オーストリアなどにもリースリングを示唆するようなブドウ畑があるなど、その起源は未だ明らかにはなっていません。
ちなみに、Rieslingの綴りが使用されるようになったのは1552年の頃だといわれており、この頃には同品種が広く、“リースリング”として栽培されていたと、いうことになります。


§リースリングのルーツ

リースリングは、もともとドイツのライン川流域に自生した野生品種と考えられていましたが、近年のDNA鑑定の結果、「グーエ・ブラン」であることがわかりました。(※ドイツでは、ヴァイザー・ホイニッシュと呼ばれる)

ちなみにグーエ・ブランのグーエは、農民のブドウといった嘲笑的な意味を持っているとのことで、一時期フランスでは栽培が禁止されていた劣等品種だったといわれています。
ただし、現在ではほとんど見かけることのない、希少品種となっているようです。

さて、グーエ・ブランではないリースリングの片親はトラミナーと野生品種の交配種と考えられていますが、その起源はアドリア海沿岸系の地域だと推測されています。

ちなみに、リースリングには果皮が赤い「ローターリースリング」といったものがあり、パイナップルやシナモンなどユニークなアロマを持つワインを生み出すことで有名です。
ただし、赤いリースリングが白いリースリングの起源なのか突然変異なのか、今の段階ではわかっていません。

(Isimbarda社WEBサイトから)


リースリングの特徴



リースリングの特徴について下記にまとめました。

・リースリングのアロマや味わい
・多種多様なスタイルのワインを生み出す
・トリメチルジヒドロナフタレンについて

それぞれ解説していきます。

§リースリングのアロマや味わい

リースリングの特徴は、モノテルペンと呼ばれる成分に起因するアロマを持っているところです。
テルペン香はマスカット香などとも呼ばれており、ワインに華やかなアロマを与えます。

リースリングは、リナロールといったフローラルな香りが特徴的で、熟成度合いによってほかに白桃や黄桃、青リンゴ、蜜入りリンゴなどのアロマを感じることができます。
また、爽やかな柑橘やスイカズラ、マリーゴールドなどの黄色い花など、華やかさを演出する多種多様な香りも感じられるところが魅力でしょう。

また、詳しくは後述しますが「ペトロール香(灯油のにおい)」のような香りを放つトリメチルジヒドロナフタレンが含まれているところも同品種の特徴です。
熟成によってトリメチルジヒドロナフタレンが増え、鉱物のような灯油のような独特な香りが全体を覆います。(高級リースリングの証ともいわれている)

ほか、リースリングは酸が豊富であることから、辛口から甘口までその引き締まった酸を残すように醸造されることがほとんどです。
華やかな香りとオイリーな香り、柔らかな口当たりを引き締まった酸が下支えする…といった、全体的にバランスのよいワインを仕上げる白ブドウ品種と考えるとよいでしょう。

§多種多様なスタイルのワインを生み出す

リースリングは、辛口ワインだけでなく半辛口、極甘口など、幅広いスタイルのワインを生み出すことで知られています。
酸が高いことから、バランスを取るために甘口ワインとなることが多いようです。
そもそも、リースリングは収穫を遅らせることで糖度が上がるほか、条件が整うことで貴腐菌がつきやすいブドウです。
また、リースリングの産地は冷涼な場所が多いことから、冬場にブドウを凍結させて造られるアイスワインの原料にもなります。

甘さと酸味、風味の良さなどからリースリングから造られる甘口ワインは上質なものと認識されており、ドイツやオーストリアでは甘口ワインの格付けが存在するほどです。

ちなみに、ブルゴーニュのモンラッシェといった辛口ワインを除けば、世界でもっとも高い白ワインドイツのリースリングから造られる「トロッケンベーレンアウスレーゼ」といわれています。
リースリングの貴腐ブドウは、1775年にシュロス・ヨハニスベルクで発見されといいます。

§トリメチルジヒドロナフタレン

リースリングについて知る上で外すことができないのが、上記でお伝えしたトリメチルジヒドロナフタレンでしょう。

トリメチルジヒドロナフタレンとは、カロテノイドと呼ばれる色素成分の酸化的分解で分解されて生じるノルイソプレノイド系の成分です。

一般的なこういった香気成分はブドウの状態では香らず、果皮などに前駆体として存在し、醸造や熟成の段階で分離されると考えられています。
トリメチルジヒドロナフタレンは、灯油などのペトロール香を放ち、ワインにオイリーな風味を与える香気成分です。
ワインにとってオフフレイバーになりそうなイメージですが、一般的に品質の高いリースリングを代表する香りとして捉えられています。

ちなみに、トリメチルジヒドロナフタレンの前駆体を多く持つリースリングを栽培するためには、日照時間を長くしたりよく熟した状態で収穫したり、灌漑などをしない水分量が少ない環境で育てたり、さまざまな条件が一致する必要があります。
ただし、トリメチルジヒドロナフタレンは前駆体から香気成分になるまでに時間がかかることから、ブドウの栽培条件だけでなく、醸造や熟成方法も肝心になると有識者は指摘しているようです。

また、近年では温暖化の影響でトリメチルジヒドロナフタレンが豊富なリースリングが増えており、逆にそれを抑制する動きもあるとのこと。
そもそも、灯油の香りが優れたリースリングといったところを疑問視する声も上がっているなど、ワイン関係者の間で価値観の変化が起こっているようです。