人気白ブドウ品種ソーヴィニヨン・ブランを徹底解説!

人気白ブドウ品種ソーヴィニヨン・ブランを徹底解説!おすすめワインも紹介!

 


夏場に求められることが多い、フレッシュ&フルーティーな白ワイン。

 

そんなワインを生み出す代表的な白ブドウ品種が、「ソーヴィニヨン・ブラン」です。

ボルドーやロワール、ニュージーランドが同品種の産地としては有名ですが、汎用性が高く産地は多岐に渡ります。

 

ここでは、ソーヴィニヨン・ブランの基本情報や魅力、おすすめのワインを紹介していきましょう。

 ぜひ、ワイン選びの参考にしてみてください。

 

ソーヴィニヨン・ブランの基本知識について下記にまとめました。

・ソーヴィニヨン・ブランとは?

・ソーヴィニヨン・ブランの特徴

・ソーヴィニヨン・ブランの産地や別名

 それぞれ、簡単に解説していきましょう。

 



ソーヴィニヨン・ブランとは?


 ソーヴィニヨン・ブランは、世界中で栽培されているワイン用白ブドウです。

 ブドウ自体の形は卵型で小粒、房は円錐形といった特徴があります。

 

密着形の果房であることから灰色カビ病に弱い一方、ボルドーなどでは貴腐ブドウとなるなど、その特徴がいかされた栽培がなされているようです。

 ソーヴィニヨン・ブランは、カベルネ・ソーヴィニヨンの親であることがわかっており、DNA的にはシュナン・ブランなどとの関連性も示唆されています。


 

ソーヴィニヨン・ブランの特徴


ソーヴィニヨン・ブランは、香りが特徴的な白ブドウです。

詳しくは後述しますが、グレープフルーツやカシスの芽、トロピカルフルーツなどの香りを呈し、冷涼地域ではハーブのニュアンスも強く出ることで知られています。

 

青っぽい香りは「メトキシピラジン」といった香気成分が関連しているといわれており、未熟香とみなされていましたが、近年スタイルによっては良しとされることもあるようです。

また、ソーヴィニヨン・ブランは早飲みタイプとしてフレッシュ&フルーティーに仕上げられることもあれば、樽熟成を経たボディ感があるタイプ、さまざまな品種とブレンドされるなど、多種多様なスタイルを生み出すところも特徴でしょう。

 

世界的な白ブドウ品種であるシャルドネとはまた違った、清涼感のある、フレッシュかつ華やかな味わいがソーヴィニヨン・ブランの魅力でもあります。


 


ソーヴィニヨン・ブランの産地や別名

 

ソーヴィニヨン・ブランは、世界中で栽培されている白ブドウ品種としても知られています。

中でも主な産地としては、フランスのボルドーやロワール、ニュージーランド、アメリカ、チリなどが有名です。

 


しかし、ソーヴィニヨン・ブランというとボルドーや新世界と呼ばれる産地のイメージがありますが、イタリアやドイツ、スペイン、オーストリアなどでも多く栽培されています。

とくに品質が高いことで知られるのはイタリアの北部で多く栽培されているもので、中でもフリウリ=ヴェネツィア・ジューリアでは品質の高いソーヴィニヨン・ブランが多い傾向です。

 


冷涼な産地、冷涼な産地で個性が変化することから、同じソーヴィニヨン・ブランであっても国ごとの違いを楽しむことができるのも魅力でしょう。

ちなみに、ソーヴィニヨン・ブランには別名がいくつかあり、産地によって呼び名が違います。

 

ロワール=ブラン フュメ

ドイツ・オーストリア=ムスカットシルヴァーナ

アメリカなど=フュメ・ブラン

 

ソーヴィニヨン・ブランは火打石のような香りがあるといったことで、煙を意味するフュメといった名が付けられているようです。

 


ソーヴィニヨン・ブランで押さえたいポイント

 

ソーヴィニヨン・ブランについて、押さえておきたいポイントを下記にまとめました。

・香り

・産地の違い

・醸造のポイント

 それぞれ解説していきたいと思います。

 

香り

ソーヴィニヨン・ブランのポイントは、なんといっても香りです。

 

香りを抑制したタイプも見られますが、やはり同品種の生産者が心を砕くのは、どれだけ狙った香りを出せるかにあるといわれています。


ワイン評論本などのソーヴィニヨン・ブランのテイスティングコメントを見ると、「青リンゴ、完熟リンゴ、パッションフルーツ、グレープフルーツ、白桃、柑橘、カスミソウ、ハーブ、スイカズラ」といった用語が多く並んでいることがわかるはずです。

 

上記でお伝えしたようにハーブのような青さを感じる部分は、「メトキシピラジン」が関連していますが、ソーヴィニヨン・ブラン最大のポイントは揮発性チオール類と考えています。

 例えばこれらです。

4MMP=ツゲ、エニシダ

3MH=パッションフルーツ、グレープフルーツ

3MHA=グレープフルーツ、パッシュオンフルーツ、草など


これらは揮発性チオールと呼ばれており、その濃度で香りが変化していきます。

例えば、これらが強過ぎる場合、ソーヴィニヨン・ブランは猫のおしっこと表現されるような香りを放つ場合があります。

 

また、汗のようなニュアンスも出ることがあるようです。

これは、冷涼なソーヴィニヨン・ブランによく見られる傾向ですが、これを良しとする方もいるところが面白いところでしょう。

 


生産者は、ソーヴィニヨン・ブランにおける産地のスタイルや自分が狙うスタイル、美味しいと思えるスタイルを追求し、それを発揮するための栽培・醸造をおこなっています。

ソーヴィニヨン・ブランを楽しむ際、香りに着目しながらテイスティングしてみるとよいでしょう。


 

産地の違い

ソーヴィニヨン・ブランは、産地によってその個性が変わるユニークな白ブドウ品種です。


 例えば、シャルドネは世界中で栽培されている品種ですが、そこまで個性がないといわれています。

 個性がないことが、個性と呼ばれるほどシンプルな品種であることから、生産者のセンスなどがとくに注目される品種です。


 一方、ソーヴィニヨン・ブランは上記でもお伝えしているように、その香りからして個性が強烈な品種として知られています。

 


まず、温暖な地域のソーヴィニヨン・ブランは、パッションフルーツ、白桃、白い花など華やかな香りが多く、酸度は低めの果実味豊かなものに仕上がります。

一方、冷涼地域のソーヴィニヨン・ブランはハーブや柑橘でもよりフレッシュなもの、酸度も高いキリッとしたものが多く仕上がる印象です。

 

また、産地によってソーヴィニヨン・ブランはブレンドするか、単一品種で仕上げるかといった違いが出てきます。

産地によってはソーヴィニヨン・ブランは華やかさがあるものの構造が弱いことから、セミヨンなどをブレンドするなど、バランスを取ったワイン造りがおこなわれる傾向です。

 

逆に、骨格があるものの華やかさが足りないソーヴィニヨン・ブランだった場合、香りを補う意味で別品種がブレンドされることがあるなど、産地による個性によってブレンド比率などが変わります。

一方、ソーヴィニヨン・ブラン100%といったものも多く存在しており、全体的にソーヴィニヨン・ブランの個性を出したいといった産地、生産者に多く見受けられる傾向です。

 


これはスタイルの問題である、優劣をつけるようなものではありません。

この産地、この生産者はソーヴィニヨン・ブランをこういった形で考えているのかといった視点でテイスティングしてみると面白いのではないでしょうか。

 




醸造のポイント

 

ソーヴィニヨン・ブランは、醸造で仕上がりが大きく変化するユニークな品種として知られています。

まず、醸造のポイントになるのは上記でお伝えした揮発性チオールです。

 

揮発性チオールが関連する香りはブドウの時点では存在せず、あくまで前駆体といった形でアルコール発酵によって生成される香りになります。

つまり、この香りをどういった形で導き出すかが醸造のポイントになるわけです。

 

香りの前駆体はブドウの果皮に存在するため、スキンコンタクトを取り入れる生産者が多い一方、味わいが雑になったバランスが悪くなるといった意味で避ける生産者もいます。

また、未熟なソーヴィニヨン・ブランであった場合、別日に収穫した熟したソーヴィニヨン・ブランをブレンドするなど、香りに着目した醸造をおこなう生産者が多いところが特徴でしょう。

 

さらに、ソーヴィニヨン・ブランはステンレスタンクでフレッシュ&フルーティーに仕上げられるだけでなく、樽などで熟成される場合もあります。

発酵は基本的には香りを重視するため低温(ボディを生かすため高温発酵もある)ですが、ストラクチャーを与えるために樽熟成を採用する生産者も少なくありません。

 

ただし、樽熟成はボリュームが強い温暖系の地域のソーヴィニヨン・ブランでないとバランスが悪くなるといわれているなど、やはり産地によっても変わってくるようです。

ちなみに、ソーヴィニヨン・ブランに含まれる揮発性チオールはその名の通り揮発しやすく酸素を嫌うことから、徹底して酸化から守られてボトリングされるのが基本となります。(樽熟成は別)


 



ソーヴィニヨン・ブランのペアリング

 

ソーヴィニヨン・ブランは、比較的幅広い食事に合わせることができるワインとして知られています。

レストランでも前菜とペアリングを勧められたり、ランチタイムにグラスで出されるなど、カジュアルに活用できるところが魅力といえる品種でしょう。

 

さて、ソーヴィニヨン・ブランのペアリングを考える際、ポイントになってくるのは「香り」と「清涼感」です。


香りは、柑橘やハーブといった印象があることから、料理にハーブや青い野菜を使ったもの、柑橘を利用したソースなどを使うとペアリングしやすくなります。

また、マロラティック発酵は基本的にはせず、酸味も穏やかでまろやかなものが多いため、こってりとしたバターでの味付けより、オリーブオイルや塩などで味付けされたものが良い傾向です。


おすすめは魚介のカルパッチョですが、さわやかなスープ料理との相性も抜群でしょう。

フレッシュなチーズをちらしても、美味しくいただけます。

 


和食とも合わせやすいですが、レモン塩やスダチ、カボスなど柑橘をブリッジにした方がより合わせやすい印象です。

ちなみに、魚介類はできるだけ生臭みを感じさせない新鮮なもの、またボイルするなど臭みを取ったものよいでしょう。


 



おすすめしたいソーヴィニヨン・ブランのワイン

 

上記でお伝えしたように、イタリアもソーヴィニヨン・ブランで有名な産地です。

品質が高い上に価格も手に取りやすいものが多いため、飲食業界の方からも常に注目されています。

 

ここからは、おすすめしたいソーヴィニヨン・ブランのワインを4選紹介していきましょう。

ぜひ、メニュー作製の参考にしてみてください。

 


◎Tonon Sauvignon Blanc Friuli(トンノンソーヴィニヨン フリウリ)商品NO13011

 

イタリアきってのソーヴィニヨン・ブランの名産地、フリウリの「トンノンソーヴィニヨン フリウリ」。

ピエトロ・トノンによって設立された1936年に設立したワイナリーで、最先端の技術を取り入れながら、ロリス・トノンによりその伝統が受け継がれている名門です。

 

「トンノンソーヴィニヨン フリウリ」は、青みを帯びた淡い色が特徴で、新鮮なハーブ園のニュアンス、酸味のはじけるような味わいが特徴。

ハーブと柑橘、パイナップルの風味が共に引き立つ、複雑かつ魅力的なワインに仕上げられています。


 


◎Cavit Bottega Sauvignon Blanc (カヴィット ボッテガ ソーヴィニヨン・ブラン)

商品NO36132

 

トレンティーノ・アルト・アディジェのワイン生産者協同組合カヴィット社が生み出す、フレッシュなソーヴィニヨン・ブラン「カヴィット ボッテガ ソーヴィニヨン・ブラン」。

 カヴィット社は4,500軒もの栽培農家が加盟する大規模な協同組合で、トレンティーノ州全体の65%にあたる、約5,700haもの畑を所有しています。

 

小さな生産者が品質向上のために日々努力を続けており、他社が真似できない品質の高いワインをカジュアルな価格で提供する、魅力的な協同組合です。

「カヴィット ボッテガ ソーヴィニヨン・ブラン」は、ソーヴィニヨン・ブランをステンレスタンクで熟成。

 奥行きと複雑性、華やかさを兼ね備えた、魅力的なソーヴィニヨン・ブランです。


 

◎La Prendina Valbruna Sauvignon(ラ プレンディーナ ヴァルブルーナ ソーヴィニヨン)

商品NO19575

 

ロンバルディアのガルダ湖の南5mに位置するラプレンディーナ。

ブドウ1本ごとに葉を見て、1本ごとに手を施すといった手の込んだ栽培で知られる名門ワイナリーです。

 

そんな、ラプレンディーナが醸すソーヴィニヨン・ブランが、「ラ プレンディーナ ヴァルブルーナ ソーヴィニヨン」。

深みのある果実味とアロマを表現した、フルボディタイプの1本です。

 20%を樽、残りはステンレスタンクで熟成させた、果実味とボディ感、そしてまろやかさが魅力的なソーヴィニヨン・ブランに仕上げられています。

 


◎Terlano Sauvignon Winkl(テルラーノ ソーヴィニヨン ウインクル)商品NO15041

 

トレンティーノ・アルト・アディジェでも長い歴史を持つワイナリー、テルラーノ。

オーストリア・ハンガリー帝国時代に設立され、イタリアでもいち早く、独自に畑やブドウの格付けに着手したという、イタリアが誇る世界最高峰ワイナリーです。

 

そんな名門がソーヴィニヨン・ブラン100%で醸すワイン、「テルラーノ ソーヴィニヨン ウインクル」。

ステンレス発酵後、57ヶ月ステンレスタンクにてシュールリー熟成させたこだわりの1本。

熟したアプリコット、マンダリン、パッションフルーツといった華やかな香りと、ミントなどハーブのニュアンスが特徴的。

酸もしっかりと残っており、果実味とのバランスがよい完璧なソーヴィニヨン・ブランです。

後味にミネラルと香りが余韻に残るところも、品質の高さを感じさせるポイントでしょう。

 


まとめ

 

ソーヴィニヨン・ブランは、誰もが知る定番の品種です。

しかし、産地や生産者によってスタイルが千差万別である、奥が深い品種でもあります。

 

フレッシュ&フルーティーなソーヴィニヨン・ブランは夏に好まれますが、スタイルによっては長期熟成も可能であり、一年を通じて楽しむことができるでしょう。

ぜひ、本記事を参考にソーヴィニヨン・ブランについて学び、最高の1本との出会いを実現させてください。