キノコを使ったイタリア郷土料理とペアリング

 

秋の気配を感じるこれからの時期、梨やブドウ、さつまいもなどたくさんの美味しい食材が旬を迎えます。

そして秋の象徴とも言えるキノコも収穫シーズンです。


もちろんイタリアといえはトリュフやポルチーニ茸のような高級キノコが有名ですが、それ以外のキノコもイタリア人は大好きです。

そこで今回はキノコを使ったイタリア郷土料理とワインのペアリングを見ていきたいと思います。

 

イタリアでも、キノコといえば秋の風物詩の一つです。

キノコに限らずイタリアでは、旬のものを旬の時期に食べるという食文化が根強くあります。

そのため気軽に冬にトマトを食べたり、春にキノコを食べたりすることはできず、同様にフレッシュなキノコのほとんども秋にしかお目にかかる事ができません。


イタリアで最も一般的なキノコは、白いChampignonチャンピニオン(ホワイトマッシュルーム)で、ブラウンマッシュルームもあるようです。

秋口になると、平茸に似たOrecchietteオレッキエッテ、なめこに似たPioppiniピオッピーニ、しめじに似たChiodiniキオディーニ、Finferliフィンフェルリ、Galletteガッレッテなどを見かけるようになります。

イタリアでも、キノコの季節には大抵のレストランやトラットリアでは、Fettuccine alla boscaiola(森のフェットゥッチーネ)つまりキノコのパスタや、Risotto alla boscaiola(キノコのリゾット)がメニューに出てきます。


またフリットも大人気の定番料理です。

日本でもイタリアでも秋の食材として人気のキノコ、お店のメニューに取り入れない手はないですね。

 



キノコは調理法によって、様々なワインと合わせる事ができますが、キノコの魅力は何といってもその香りと風味にあります。

そのためワインも個性の強いものよりも、味わいが柔らかく優しいものの方が、キノコ料理に合わせやすいです。


そもそもベースのワインが美味しく、静かに食事に寄り添うこともできるイタリアワインは、全般的にキノコ料理に合わせやすいというメリットがあります。

よりペアリングを意識するなら、キノコ料理とワインのフレーバーを合わせるとうまくいくでしょう。


例えば、直火で焼いたキノコにオリーブオイルと塩、軽くレモンを一絞りしたシンプルな料理には、柑橘やハーブのアロマにしっかりとしたミネラル感のある白ワインがよく合います。


またキノコのフリットには、爽やかな酸とコクのあるプロセッコがオススメです。

サクッとした衣の食感とキノコの濃厚な旨味がじゅわっと広がる味わい、弾けるようなプロセッコの泡と爽やかな酸が見事にマッチします。


さらにキノコたっぷりのパスタには、やはりイタリアの赤ワインがよく合います。中でもサンジョヴェーゼは、タンニンと酸味のバランスがよく、キノコの旨味がたっぷりのパスタとよく合います。

 


それでは、ここから具体的にキノコを使ったイタリア料理とワインのペアリングを見ていきましょう。

トリュフやポルチーニ茸など貴重なキノコを使わなくても、日本の旬のキノコを使えば、季節を感じる美味しいイタリア料理が出来上がります。

 

キノコのトリフォラーティ

 


トリフォラーティはピエモンテ地方の郷土料理で、「トリュフのような」という意味の調理法または料理のことです。

リュフ以外のキノコや他の材料を使って「トリュフに匹敵するような風味のする料理」を作ります。


肉料理の付け合わせなどで提供されることが多いですが、ワインのおつまみにも最高の一品です。

調理法は意外にシンプルで、オリーブオイル、バター、ニンニク、イタリアンパセリのみじん切りと一緒に具材を炒めるだけです。


加熱するとキノコから出る旨味たっぷりのダシと水分をフライパンで煮含めていき、そのダシをもう一度キノコに吸わせるという、キノコの香り満載の秋らしい一皿です。

美味しく作るコツは、イタリアンパセリをたっぷりと使うことです。


ちなみに、イタリアンパセリの代わりにオレガノが入ると「フンゲット」という「キノコのような」という料理になります。

どちらの料理も、いろいろな種類のキノコを混ぜた方が、美味しくできますよ。

 

白ワイン フェッロチント・チンパ・アル・プリンチペ Ferrocinto Timpa el Principe 商品No.27502

グレコ・ビアンコ50%、モントニコ50

黄色いフルーツや花を想わせる、豊かな香りがこのワインの特徴です。

味わいは控えめなフルーツの風味と爽快な酸味が広がり、全体のバランスが取れたミディアムボディの辛口白ワインです。

山のワインらしく引き締まったミネラル感を持つ味わいは、キノコなど秋の食材との相性が期待できます。

 


キノコのフリッタータ


フリッタータはいわゆる固焼きのイタリアンオムレツです。

イタリアの特に北部では昔からキノコは近くの山から収穫するものというイメージがあります。

キノコだけではなく、ハムやパルミジャーノなども加えるとより味にコクが出ます。


この料理も、様々なキノコを使った方が味と香りにコクが出ます。

またキノコは薄切りよりもざく切りにした方が食感も出ます。

 

白ワイン ロマーニャ DOCG アルバーナ・セッコ ヴィーニャ・ロッカ Romagna DOCG Albana Secco Vigna Rocca  商品No.21006

アルバーナ100%

桃や黄色いプラムのようなアロマ、伸びのある酸味と硬質なミネラル感に支えられて、上品な辛口に仕上がったオレンジワインです。

余韻にはアーモンドを想わせる香ばしいニュアンスも加わり、ソテーしたキノコ類のような、調理された秋の野菜に共通する香りを連想させるワインです。

 


パスタ・ボスカイオーラ


ボスカイオーラは「木こり風」という意味で、森で採れた豊かな山の幸、つまりキノコをふんだんに使った料理です。

ボスカイオーラの発祥は南イタリアとされており、元々はキノコにチーズを何層にも重ねてオーブンで焼いた郷土料理です。

ただ現在では、パスタやピザなどでもキノコをたっぷり使ったものが、ボスカイオーラ風と呼ばれるようになっています。

使うキノコは、日本でもお馴染みのエリンギ、しめじ、マッシュルーム、まいたけなどお好みのキノコを使っても美味しくできますね。

ツナを切り株に見立てて入れる事もあります。

ソースはオイル、クリーム、トマトとそれぞれあります。

パスタはソースによって変わりますが、スパゲッティーニやフェットチーネなどが使われます。

 

赤ワイン デイ ロッソ・ディ・モンテプルチャーノ Dei Rosso di Montepulciano 商品No.41606

サンジョヴェーゼ90%、カナイオーロ、メルロー10%

スミレやチェリーを想わせる華やかな香り、チャーミングな果実味を持つ赤ワインです。

しなやかで伸びのある酸味と、きめ細やかなタンニンが調和し果実味とのバランスも絶妙です。

香りと楽しむキノコ類を使った料理と特に好相性です。

 



牛肉のスカロッピーネ キノコのホワイトソース添え


スカロッピーネ(Scaloppine)とは、牛肉・鶏肉・豚肉など肉のスライスをさっと焼いて、ソースをかけたイタリア料理です。

イタリアでは仔牛肉がよく使われますが、牛肉でももちろん美味しくできます。


脂身の少ない部分を使用するのがオススメで、肉をよく叩いて薄くし、繊維を断ち切ることで柔らかい食感が生まれます。

かけるソースはレモン風味やマルサラ酒のソースなどが一般的ですが、キノコのホワイトソースを使うバリエーションもあります。

キノコを使うことで香りと風味がプラスされるので、料理の味わいが奥深くなるだけではなく、よりワインとの相性がよくなります。

 

 赤ワイン ブリッコ・ロンダリーノ バルベーラ・ディ・モンフェッラート・スペリオーレ DOCG Bricco Mondalino Barbera del Monferrato Superiore DOCG 商品No.10119

バルベーラ、フレイザ

バルベーラ・デル・モンフェッラート・スペリオーレは、2008年にDOCG認定されましたが、地元ピエモンテの伝統的な品種・製法で造られた、日常的に親しまれているワインです。

プラムやチェリーを想わせるチャーミングなアロマに、豊かな酸味、フローラルなニュアンスが特徴的で、キノコやハーブを使用した肉料理との相性もいいです。

 

旬のキノコを使った料理は、秋の訪れを感じられるだけでなく、美味しくて様々なバリエーションも考えられます。実りの秋、食欲の秋にふさわしい料理と美味しいワインを準備して、お客様に喜んでもらえるといいですね。

 

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