イタリアワインを知るならこの品種!サンジョヴェーゼの基本情報!
イタリアの赤ワインといえば、サンジョヴェーゼをイメージされる方も多いのではないでしょうか。
サンジョヴェーゼは正真正銘、イタリアを代表する黒ブドウ品種のひとつであり、イタリア各地で栽培されています。
日本国内でもサンジョヴェーゼが使用されたイタリアワインと出会う機会が多いため、基礎知識を知っておく必要もあると思います。
本記事では、サンジョヴェーゼの基本について解説します。
サンジョヴェーゼの基本情報
・サンジョヴェーゼとは?
・サンジョヴェーゼの歴史
・サンジョヴェーゼとクローン
それぞれ解説していきます。
§サンジョヴェーゼとは?
サンジョヴェーゼとは、イタリアを中心に栽培されているワイン用黒ブドウです。
イタリアのほぼ全域で栽培されており、栽培面積はイタリア最大規模。
とくにトスカーナ州の「キャンティ」や「キャンティ・クラシコ」、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」など、イタリアが世界に誇る赤ワインの主要品種として知られています。
サンジョヴェーゼは、2004年のDNA鑑定の結果、チリエージョロとカラブレーゼ・ディ・モンテヌオーヴォの交配で誕生したブドウ品種といわれていますが、トスカーナ州が起源か、イタリア南部が起源か、その誕生地は未だハッキリとしていないそうです。
ただし、イタリア南部でサンジョヴェーゼの突然変異が増殖していることなどから、南部で発生した可能性が高いと示唆されています。
フラッパートやガリオッポ、アリアニコなど南イタリアで中心に栽培されているブドウ品種との遺伝子が近いといったところも、これら説を裏付ける要素でしょう。
ちなみに、サンジョヴェーゼの葉は濃い緑色で、果粒は中程度、やや紫がかった黒色をしているところが特徴です。
§サンジョヴェーゼの歴史
サンジョヴェーゼの名は、血液を意味する「Sanguis」とローマの主神である神「Jovis」を組み合わせた「ジュピターの血」が語源で、エミリア・ロマーニャ地方の僧侶が名付けたといわれています。
サンジョヴェーゼはは、1590年のGiovanvettorio Soderiniと呼ばれる人物の著作で登場したとされており、明確に記載されていないものの、トスカーナではサンジョヴェーゼ(だと思われるブドウ)を使用して非常に優れたワインを造っている、などの記述があるようです。
古くから優れたワインを生み出す品種として愛されてきたサンジョヴェーゼですが、古くより単一ではなくブレンドするとよい…などと言われてきた歴史があります。
そして、1872年に政治家でありワインメーカーでもあったベッティーノリカーゾリ氏が、キャンティのレシピを確立。
それが、「サンジョベーゼ70%、カナイオーロ20%、マルヴァジア・デル・キアンティ10%」といったものでした。
(BaroneRicasoli社WEBサイトより)
しかし、1872年9月に一族に残した彼の手紙には、「良質なワインはサンジョヴェーゼを主体に、カナイオーロを少し加えること。
早飲みの場合、マルヴァジアを入れても良いだろう」と書かれていることから、マルヴァジアはワインのスタイルに合わせてブレンドするといった解釈が本当のところだそうです。
このようにサンジョヴェーゼはブレンドされることが基本とされていますが、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」などでは、サンジョヴェーゼ100%で造られています。
また、原産地を名乗る際には土着品種以外とのブレンドは認められていませんでしたが、「スーパータスカン」と呼ばれるワインなどは、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種とブレンドされるなど、新しいサンジョヴェーゼも登場し始めました。
ベッティーノリカーゾリ氏のブレンド比率はあくまで参考であり、古くからトスカーナの各ワイナリーには独自のブレンドが存在しています。
そのため、画一的なワインではなく、それぞれに個性を持った味わいに仕上がるところもサンジョヴェーゼの特徴でしょう。
カジュアルなワインから高級ワインまで、幅広いイタリアワインを生み出すサンジョヴェーゼ。
今もなお、イタリアを代表する黒ブドウ品種として君臨し続けているのです。
(BaroneRicasoli社WEBサイトはこちらから)
§サンジョヴェーゼとクローン
サンジョヴェーゼは突然変異が多い、クローンが多いブドウ品種として有名です。
サンジョヴェーゼには大きくわけて、「サンジョヴェーゼグロッソ」と「サンジョヴェーゼピッコロ」といった分類があることが判明しており、その名の通り「グロッソ=大きな」、「ピッコロ=小さな」サンジョヴェーゼといった形で分類されています。
「サンジョヴェーゼグロッソ」には、ブルネロ地域のものやキャンティ地域で栽培されているクローンがファミリーとして含まれていますが、「サンジョヴェーゼピッコロ」よりも品質が高いワイン生み出すとされているようです。
しかし、近年の研究によると優劣をつけることはできないといった論調があり、それぞれの個性を生かしたワインが生み出されることの方が重要だ、といった見解になっているといわれています。
サンジョヴェーゼの栽培・醸造
サンジョヴェーゼの栽培・醸造の観点から解説していきましょう。
§サンジョヴェーゼの栽培
サンジョヴェーゼはイタリアのみで栽培されているイメージですが、適応能力が高い品種であることから、じつは世界各国で栽培されています。
例えば、フランスのラングドックやギリシャ、スイスをはじめ、アルゼンチン、チリ、ブラジル、アメリカなど、栽培面積は広くないものの各地で栽培されている傾向です。
ただし、サンジョヴェーゼは石灰岩の土壌と相性が良く、頁岩と粘土質の土壌を持つキャンティが最も優れていることで知られています。
また、モンタルチーノも石灰岩ベースの土壌であることから高品質なサンジョヴェーゼが収穫が可能です。
サンジョヴェーゼは成熟が遅い品種であり、気温が高過ぎると風味が落ち、低過ぎると酸度が高くなり過ぎるなど、栽培における頻出管理が非常にデリケートな品種です。
現在、イタリアでは9月下旬から、10月中旬から下旬が収穫期とされていますが、降雨による影響を受けやすいことから、その地域によっても変わってくるとされています。
ほか、高品質なサンジョヴェーゼを収穫するためには、収穫量を抑えたり高密度に植栽しないこと、酸度とポリフェノールなどのバランスを常に注視しながら収穫することが必要だといわれています。
§サンジョヴェーゼの醸造
サンジョヴェーゼは、酸度が高くミディアムからライトなボディ感のワインを生み出すところが特徴です。
しかし、一方でポリフェノール量が少なく、色やコク、テクスチャーなどが物足りないといった欠点も存在しています。
そのため、ブドウ自体を低収量にしたり、発酵の時間や温度、樽の使い方など、サンジョヴェーゼ自体にコクと厚みを持たせるため、ワインメーカーは試行錯誤を繰り返してきました。
ただし、その物足りなさをカバーするために、他の品種をバランスよくブレンドするなど、サンジョヴェーゼならではのワイン造りが発展したとも考えることができるでしょう。
もちろん、サンジョヴェーゼ自体の品質が高いことで単一品種の素晴らしい赤ワインが生み出されていますし、発酵やマロラティック発酵、新樽・古樽の使い方にこだわる生産者からは、クオリティの高いワインが多く生み出されています。
ちなみに、サンジョヴェーゼ(とくにキャンティ)の特徴のひとつに生産者による品質のバラつきが大きいといったものがあります。
どれだけ質の高いサンジョヴェーゼを収穫できているのか、醸造にどこまで心を砕いていのか、ワインを選ぶ際にはこういった部分に注目してみるとよいでしょう。
(BaroneRicasoli社WEBサイトから)
サンジョヴェーゼから造られるワイン・ペアリング
サンジョヴェーゼから造られるワインの特徴、そしてペアリングについて解説していきましょう。
§サンジョヴェーゼワインの特徴
サンジョヴェーゼから造られる赤ワインは、中程度の外観で熟成させるとルビー色へと変化していきます。
アロマの量が多い品種であり、さくらんぼやプラム、黒オリーブ、クローブ、またスパイスなどのアロマが特徴的です。
熟成度によってはコーヒーやナツメグ、赤い肉などのアロマもあらわれます。
一方、酸味は豊富ですが、熟成度や近年穏やかになっているものも多く、テクスチャーもしっかりとしているものが多く見れる傾向です。
タンニンはシルキーで、全体的に凝縮感のあるワインを生み出す品種といえるでしょう。
§ペアリングについて
サンジョヴェーゼは、赤ワインの中でも非常にトマトを使用した料理、そして肉類と相性がよいことで知られています。
トマトソースパスタやトマトを使った煮込み料理など、トマトの豊かなうまみと酸味、そして甘みと最高の相性を示します。
また、トスカーナでは『ビステッカ』(Tボーンステーキ)と呼ばれる料理とサンジョヴェーゼのワインが合わせられているなど、“肉の血”とよく合う傾向です。
牛肉や豚肉、羊肉などはもちろん、鹿肉などジビエとの相性もよいでしょう。
また、サンジョヴェーゼはスパイスのアロマも豊富なので、ローストした野菜類とも合わせやすい印象です。
サンジョヴェーゼの特徴をしっかりと掴み、それに合わせていく形で料理を合わせていくことをおすすめします。
おすすめのサンジョヴェーゼワイン
ここからは、おすすめのサンジョヴェーゼワインを紹介していきます。
サンジョヴェーゼで造られるワインを選ぶ上で重要なことは、情熱を持ってワインを造り続けている生産者を選ぶことです。
品質にこだわる注目の生産者のワインを揃えたので、ぜひチェックしてみてください。
Fossacolle Sangiovese Grosso Toscana 15 フォッサコッレサンジョヴェーゼ グロッソ
モンタルチーノ村の中でも最高と言われるロケーションに位置するフォッサコッレの、「フォッサコッレサンジョヴェーゼ
グロッソ」。
醸造責任者のアドリアーノ・バンバジオーニ氏はイタリアワイン界の重鎮の一人であり、いくつののも功績を残した人物です。
フレッシュなフルーツアロマと繊細な第三香の複雑さ。
全体的にバランスが良い、古き良きブルネッロ・ディ・モンタルチーノを彷彿とさせる骨格のしっかりした心地良い味わいの1本です。
Primaterra Sangiovese 17 プリマテッラサンジョヴェーゼ
ステーファノ・モッカガッタ氏を中心とする新しいプロジェクトとして生まれた、プリマテッラ。
ワイン造りで最も有名ないくつかの州より素晴らしいブドウ栽培者を探し出し、その土地のテロワールを表現するワインを造ろうといったプロジェクトで生まれたワインです。
「プリマテッラサンジョヴェーゼ」は、ステンレスタンクで熟成させたサンジョヴェーゼ100%の赤ワインで、チェリーのアロマと酸のバランスの良さが際立つ1本。
ほどよいスパイス感と心地よいアタック、クリーンでフレッシュな仕上がりが特徴の、魅力的なサンジョヴェーゼとなっています。
Pile e Lamole Chianti Lamole 18 キャンティクラシコラモーレ
グレーヴェ・イン・キアンティ地区のラーモレの丘にあるカンティーナに位置する、ラモーレ
ディ ラモーレ。
ラモーレとはサンジョヴェーゼの遺伝子の名前でもあるなど、サンジョヴェーゼに因んだネーミングが特徴です。
キアンティ・クラシコの中でも、最も標高が高いエリアで、ガレストロ土壌1ヶ所、粘土質・砂・石から構成された土壌2ヶ所といったサンジョヴェーゼに適した土壌。
「キャンティクラシコラモーレ」は、熟したベリー系、スミレの香りなど複雑なアロマが特徴。
果実味とタンニンのバランスがよく、非常になめらかなエレガントスタイルの1本に仕上げられています。
料理との調和を目指したサンジョヴェーゼのベーシック・モデルとして知られているので、飲食店の方は必見です。
Feudo Arancio Sangiovese 19 フェードアランチョサンジョヴェーゼ
シチリア産、サンジョヴェーゼ「フェードアランチョサンジョヴェーゼ」。
生産者のフェウド・アランチョは、最高のコストパフォーマンス・ワインの提供」と「料理と相性の良いワインを造る」という明確なコンセプトのもと設立されたワイナリーです。
ブラックチェリーやスミレなどのチャーミングなアロマが特徴。
果実味はピュアで樽熟成に由来するバニラなどの複雑なニュアンスが、全体を複雑かつ魅力的に彩ります。
料理との相性はもちろん、幅広いシチュエーションで利用できるサンジョヴェーゼといえるでしょう。
まとめ
サンジョヴェーゼは、日本でも人気があるブドウ品種です。
しかし、イタリアが有名…といっただけで、意外にその歴史や品種自体の特徴を知らない方も多かったのではないでしょうか。
ぜひ、本記事を参考に今一度サンジョヴェーゼをチェックし、じっくりと味わってみましょう。
何か、新しい発見があるかもしれません。
- 【商品コード】35255
Fossacolle Sangiovese Grosso Toscana 15終売
商品備考1 | 商品コード:35255 |
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商品備考2 | フォッサコッレサンジョヴェーゼグロッソ |
- 【商品コード】97103
商品備考1 | 商品コード:97103 |
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商品備考2 | プリマテッラサンジョヴェーゼ |