ENOGASTRONOMIA　エノガストロノミアって？【シチリア編③・ラグーザ】

ENOGASTRONOMIAシチリア編第3弾。

シチリア東南にVAL DI NOTO (ノート渓谷)と呼ばれる８つの町、「ラグ－ザ」「カルタジローネ」「ミリテッロ・イン・ヴァル・ディ・カターニア」「カターニア」「モディカ」「ノート」「パラッツォーロ・アクレイデ」「シクリ」が2002年に後期バロック様式の町として世界遺産に登録されました。

シチリアを訪れた際は、是非足を運んでほしいシチリアンバロックと呼ばれるエリアです。

今回は、このヴァル.ディ.ノートの主要都市からENOGASTRONOMIAをご紹介します！

まずは、ラグ－ザ。

イブレイ山地南側の渓谷の狭間に古代シクリ人によって築かれたこの町は、高台にある新市街スーペリオーレ地区と低地にある旧市街イブラ地区という２つの町に分割されています。

1693年の大地震によって5000人以上の死者がでる壊滅的な被害を受けた後、当初のイブラ地区に加え、地元の貴族たちが新たにスーペリオーレという新市街を丘の上に建設しました。

大地震が起きた17世紀後半に、各ヨ－ロッパでブームとなっていた後期バロック様式。

都市復興の際は、この後期バロック様式が徹底的に取り入れられたということです。

第1弾でご紹介したパレルモのように、アラブ、バロック、ノルマンと歴史が混在する街とはまた違う魅力を持った、バロックで統一されている町がラグ－ザです。

シチリアワインの真珠と称されるCERASUOLO DI VITTORIA DOCG

シチリアを代表するENOLOGIA(ワイン)と言えば、2005年にDOCG認定を受けたチェラスオーロ・ディ・ヴィットリアを置いて他にありません。

ワインの名前の「CERA」とはラテン語の「CERASIUM」＝イタリア語の「CILIEGIA　チェリー」に由来し、ネーロ.ダヴォ－ラとフラッパ－トという2種類のシチリア土着ブドウ品種によって作り出されたその芳香は、チェリー、イチゴ、ザクロのような甘い香りがします。

チェラスオ－ロ.ディ.ヴィットリアにはクラッシコ（歴史的指定地域で造られる格付け）もありますが、クラッシコを名乗れるのはカタ－二アの一部とアカーテ村、ヴィットリア村、コミソ村、キアラモンテ グルフィ村、サンタ クローチェ カメリーナ村の全域でこの村々は、すべてラグ－ザ県にあります。

チャラゾーロ は、ヴィットリア村のフラッパ－トが味の決め手

このワインはネーロ.ダヴォ－ラとフラッパ－トという2種類のシチリア土着ブドウ品種から作られるわけですが、造られる土地によってその特徴は異なります。

例えば、ネーロ.ダヴォ―ラ。メンフィ周辺だと果実味のあるしっかりした味、トラ－パ二周辺はスパイシーな味。

そして、ラグ－ザのヴィットリア周辺だとミネラル感のある味という風に、シチリア州はとても広く土壌のタイプも多様な土地だとわかります。

近年、人気の出てきたフラッパ－トは、ラグ－ザの土壌が特に適していると言われます。

このラグ－ザのフラッパ－トの特徴こそが、ネーロ.ダヴォ－ラとブレンドして造られるチェラスオーロ・ディ・ヴィットリアの味の決め手というと、まさにラグ－ザというテロワールがこのシチリアワインの真珠を生みだしたと言えるのではないでしょうか。

当社が取り扱うチェラスオーロ・ディ・ヴィットリアをご紹介

商品番号11378　Planeta CERASUOLO DI VITTORIA19

商品番号19884　Feudo Santa tresa CERASUOLO DI VITTORIA18

商品番号35959　COS CERASUOLO DI VITTORIA17

特に注目したいのがCOSワイナリ―。

ラグ－ザ県ヴィットリア村にあり、原点回帰を目指し成長し続けるワイナリ―では、伝統的なANFORAアンフォラ（素焼きの壺）での発酵、熟成を行っています。

そのワインはより焦点の定まった味わいの上品で個性的なものとなっています。ラグ－ザのフラッパ－トを存分に味わいたければ、軽やかでミネラリーなCOSワイナリ―のこちらもお勧めです。

商品番号18701　COS　FRAPPATO19/20　フラッパ－ト100％

ラグーザ風スカッチャ

ラグ－ザのGOSTRONOMIAではラグ－ザ風スカッチャをご紹介。

もともとは、週に1度作られる素朴な料理でしたが、今ではクリスマスイブによく作られるピアットということです。

ラグ－ザ市とモディカ市では、スカッチャフェスティバルが毎年開催されるほど地元で愛されているスカッチャは、トマトソースを塗った生地をパイのように折り重ねたフォカッチャと言ったところでしょうか。

このソースに削ったカチョカヴァロチ－ズを入れるのがラグ－ザ風。

日本でもカチョカヴァロはカチョ・エ・ペペのパスタなどで人気があるチ－ズだと思いますが、ラグ－ザの典型的なチ－ズの一つです。

ラグ－ザのチ－ズとしてもう一つご紹介したいのが、コスカヴァドゥ

「カチョカヴァロ」も「コスカヴァドゥ」も特徴は、パスタフィラータという作り方からくる加熱すると良く伸びるチ－ズでモッツァレラと同じ製法です。

基本的に熟成が浅いものが多く、やさしい甘みを感じるクセのないチ－ズです。

テ－ブルチ－ズとしてそのまま食べるのも充分美味しいですが、「コスカヴァドゥ」を使ったレシピにCROCHETTA DI PATATA E COSACAVADDU(「コスカヴァドゥ」のポテトコロッケ)や、　「カチョカヴァロ」のかわりに「コスカヴァドゥ」を使ったパスタも掲載されていました。

加熱したトロ－ッとしたチ－ズが好きな人は多いはずです。

チェラスオーロ・ディ・ヴィットリアは、どんな料理にもペアリングできる万能ワインということですので、是非合わせてみたいですね。

チョコレ－トと共存するMODICA

シチリアンバロックの町の一つとして、次にご紹介するのはチョコレ－トで有名なモディカ。

様々な民族の支配を受けてきた複雑な町の歴史から、モディカチョコレ－トの起源を辿るのは容易ではありませんが、16世紀にこの特殊なカカオ加工技術をシチリアに導入したのはスペイン人だったようです。

この頃、シチリアはスペインの支配下にあり南イタリアの重要な領地を統治していたのはモディカ伯爵でした。

しかし、このレシピはスペイン人がアステカ民族が住んでいた当時のアメリカ（現在はメキシコ領地）から持ち帰ったとあり、この似たような加工法がメキシコやガテマラのコミュニティで見つかっています。

世界的に知られるまで、モディカではこのチョコレ－トは大切な記念日やお祝いの時に貴族の家族で作られていたそうですよ。

それから、モディカはチョコレートと共に生きてきました。

町の至る所にチョコレート工房や店がありチョコレートの甘い香りが漂ってきます。

お店では、様々なフレ―バ―のチョコレ－トの試食もできますので、お土産に選ばれても。ヨーロッパ初のIGPを獲得したモディカチョコレ－トについて更に詳しく知りたければ、モディカチョコレ－ト博物館へ。

https://sicilyintour.com/en/place/chocolate-museum-of-modica-igp/

王道のペアリングはマルサラワインやパッシ－ト、カルチョ―ヒのグラッパも！

モディカチョコレ－トの製法は、グラニュー糖を加えたカカオの粉を35〜40度で溶かし、香辛料などで味つけするシンプルなものです。

モディカのチョコレートは水分がほとんどなく、自然な甘さでザクッとした食感が特徴。コ－ヒ―やワイン、ブランデ―などとも相性がいいです。ペアリングするワインとして王道なのが、マルサラワインやパッシ－ト。

当社が扱うマルサラワインやパッシ－ト

商品番号25999　PELLEGRINO MARSALA DOLCE

商品番号21304 PELLEGRINO PASSITO PANTELLERIA

その他、ネ－ロ.ダヴォ-ラ主体の赤やアランチェッロも取り揃えています。

商品番号10163　PELLEGRINO FINIMONDO TERRE SICILIANE

商品番号16818　PELLEGRINO ARANCELLO

https://www.carlopellegrino.it/

さて、今回モディカチョコレ－トとのペアリングを調べてみると、エトナの野生カルチョ―ヒのグラッパが紹介されていて驚きでした。

例えば、トラ－パ二産塩入りチョコレートや、エクアドル産カカオ70％のビターチョコレートとのペアリングです。

今まで私の食べた印象のモディカチョコレ－トはかなり甘いので、このグラッパと合わせたらその印象が覆されそうです。

AMACARDO SICILY 蒸留所　カタ－二ア　オフィシャルサイト掲載記事より

GRAPPA AL CARCIOFINO SELVATICO DELL’ETNA

エトナのアーティチョークを煎じた強烈でワイルドな香りとセレクトされた最高級のブドウ搾りかすを使用した力強いグラッパ。

モディカのGASTRONOMIA、MPANATIGGHIはひき肉入りドルチェ？！

モディカのGASTRONOMIAでも驚きの発見がありました。

MPANATIGGHI（ンパナティッギィ）というドルチェで、レシピをみるとモディカ風ビスコッティと紹介されています。

ビターチョコレート入りとあり、「どこにでもありそうだな。」と思いきや、なんとひき肉入りと書いてあるではありませんか！

どんな味がするのか興味をそそられるモディカ伝統のドルチェです。

卵とマルサラワインを加えたビスコッティの生地に、炒めた牛ひき肉、砂糖、刻んだア―モンドとクルミ、そしてビターチョコレートを合わせ、シナモンとクロ－ブで味を調えた具材を詰め三日月型に成形してオーブンで焼いて完成です。