【前半】イタリアワインの伝道師が登場!永瀬喜洋さん×亀屋食品のコラボ記念インタビュー!
この度、弊社ワイン部門のアドバイザーに株式会社クアトロヴィーニ代表取締役 永瀬喜洋さんに就任していただく事になりました。
これにより多くのイタリア料理店の皆様に、より素晴らしいイタリアワインをお届けする事ができ、また今までとは違った視点からワインを選定できる手助けが出来ればと考えています。
今後は永瀬氏選定のおすすめワインや、季節に合ったアイテム、旬の食材とのペアリングなどの情報を定期的に情報発信をしてまいります。
ぜひご期待ください。
永瀬さんといえば、イタリアワインの伝道師ともいえる経歴を持つ人物。
今回、永瀬さんと当社のコラボレーションを記念した特別インタビューを行いました。
Profile
前半では永瀬さんのキャリアについて、後半では永瀬さんが飲食店向けに考案したワインペアリングの一例と今後の取り組みについてお伝えしていきます。(聞き手:当社ワイン担当・佐藤信也)
イタリア文化を幅広く伝える活動
永瀬「まず、大前提として弊社クアトロヴィーニがやりたいことは、“イタリア文化を日本に伝える架け橋になる仕事”です。イタリアワイン関連の発信が中心ですが、イタリアの食材や食事についても発信しなければイタリアワインについては話ができません。そのため、イタリアワイン中心のセミナー講師やインポーターのアドバイザーとしてイタリアとのパイプを繋ぐだけでなく、レストランコンサルティングやペアリング提案、サービスなどなど多岐に活動しています。」
Q. イタリアワイン、ひいてはイタリアの食文化全体を伝えたいと?
永瀬「私は今でもレストランでソムリエとしてお客さまにイタリアワインを伝えるといった、“現場仕事”も大切にしています。幅広い角度からイタリアワインをお客さまに知っていただき、さらにより知りたい方にはセミナーで深く知ってもらう。僕の理想は、イタリアワインの“入口から出口まで”を担うことです。多くの人に、“イタリアいいよね!”と思ってもらいたい。そんな思いから、この会社を設立したんです。」
イタリアに渡るまでのキャリアについて
永瀬「大学を卒業後、名古屋市のピッツェリアにサービスとして就職しました。本当はキッチンで働きたかったのですが、ホールしか空きがないといわれたので、仕方がなくサービスに入った形ですね(笑)。じつはこのお店の前に将来のことを考えてフードビジネス系の企業に就職したのですが、自分の好きなことができる環境ではありませんでした。就職したピッツェリアは学生時代にアルバイトとして自由にやらせてもらえていたので、このお店に就職といった形で戻ってきた感じです。」
Q.その後、新しいレストランに移っているのですが、どんな経緯が?
永瀬「ピッツェリアに就職した後、やはり料理への情熱が消えることはなく、料理人として別のレストランに入りました。そこのレストランはイタリア帰りのシェフなどが揃う本格的な店舗だったのですが、数ヶ月後にホールの人が辞めてしまい、経験者ということでまた自分がホール担当に…。ただ、ホールのことをしっかりとやることを前提に仕込みだけは手伝わせてもらえました。そこで料理をしっかりと覚えた感じですね。」
Q.「永瀬さんはこの頃にイタリアに渡っていますが、どんな理由があったのでしょうか。」
永瀬「じつは、このレストランに入る前の面接で情熱あるところを演出しようと、“3年後にはイタリアに行きます!”と豪語していたんです。すると3年後、“イタリアに行くんでしょ?ボローニャの本店に話はつけてあるから、あとは家族と相談して行く日程を決めてね”と言われたんですよ。要するに、イタリアでの修業先の職場を準備してくれていたんです。ひとまず、当時のレストランで一緒に働くイタリア人が毎週イタリア語講座をやってくれていたので語学に不安はなく、イタリアに渡った後も日常会話ぐらいはできましたね。」
Q.それは素晴らしいですね。順風満帆といった印象です。
永瀬「いや、この頃の私は飲食をやめようと考えていました。理由は将来が見えなかったからです。当時、飲食の花形は料理人であり、サービスはそれを運搬しお客様に聞かれたらワインを出すだけの役目と考えていました。ワインは好きでしたが、この関わり方は違う…と考えていたんですね。それとは別にワインを輸入するといった仕事なら自分がやりたいと思えると考え、イタリアに行く前に知り合いのインポーターに相談していたぐらいです。インポーターになりたいと思いつつ、イタリアに行くチャンスなんて滅多にないので、渡伊した形ですね。」
Q.とても意外なエピソードですね。イタリアに行ってその考え方は変わられたのでしょうか?
永瀬「イタリアでは、サービスが面白いと感じることができました。料理人ではなく、表にいる人たちがお店をコントロールしているんです。自分の描いていた理想の姿がそこにはあり、あらためてレストランで働きたいと思うことができました。ビザの関係もあり、帰国や渡伊を繰り返してトータル5年ほどになるかと思います。」
JETCUP優勝までの道のり
永瀬「当時、今のようにSNSでの発信が強い力を持つ時代ではありませんでした。今はずいぶんと変わりましたが、当時は地方都市からのイタリアワインに関する発信には限界があるのではないか?と勝手に考えていました。そんなことを以前から親交のあった『Vino della
Pace』の内藤さんに相談したところ、“じゃ、うちしかないだろ”と(笑)。内藤さんにはとてもお世話になっていましたし、ほかに選択肢はありませんでした。」
Q.内藤さんといえば、イタリアワインのレジェンドと呼ばれる人物です。どんなことを学びましたか?
永瀬「内藤さんからは、“考えること・準備すること・確認をすること”を学びました。イタリアワインの第一人者と称される人がここまで準備に力を入れている姿は、いい気になっていた自分の概念を壊してくれました。正直、“ここまでするか…”と思うこともありつらいこともありましたが、ある時点でわかったと思ってしまっては成長が止まってしまう。その努力の度合いやワインに対する姿勢などは、内藤さんから最も学んだ部分ですね。」
Q.その後、永瀬さんは「第8回JETCUP(イタリアワイン・ベスト・ソムリエ・コンクール)」で優勝されています。この経緯についても簡単に教えていただけますか?
永瀬「仕事をしながら勉強したといった感じですね。文字での勉強というよりは、ワインの扱い方なども含めて仕事中に学びました。ソムリエとしてイタリアワインを発信するチャンスを得る1つのきっかけとしてJETCUPでの優勝があり、ソムリエとしての個性を皆様に知っていただく機会だと思います。」
現場を大切にする姿勢
Q.2018年に株式会社クアトロヴィーニ設立した永瀬さんですが、今もなお現場を大切にしているとお話をお聞きしました。その理由についてお聞かせください。
永瀬「正直、現場を離れることは怖いです。私の活動においてひとつ基地があることはとても重要であり、“現場の感覚”をしっかりと感じ取っていたいという気持ちがあります。例えば、レストランだけでなく様々な業態のお店にアドバイザーとしてワインペアリングの提案をした際に、現場のスタッフは本来の意味や楽しさを理解するのに時間を要し、上手く機能しない可能性もあります。現場に入り、スタッフと密なコミュニケーションを図ることで”一緒に作り上げる”感覚を共有したいですね。」
Q.なかなか、できることではありませんね。
永瀬「例えば、皆さんが飲食店に行った時に、“このお店もっとこうしたらよくなるのに”と思うことがあると思います。それを現場に入ってやっていると思ってもらうと、わかりやすいかもしれません。お店のスタッフにヒアリングをすると、上手く意見交換ができていない事や、物事のスムーズな遂行方法が困難であるなど、様々な声が出てきます。これらの意見に対して一般的な解決方法をしながら、現場でのリアルな状況を知り、一緒に解決していくことで信頼関係が築けるように心掛けています。もちろん、スタッフからは面倒くさいと思われることもあると思いますよ。だからこそ、そうならないような関係性を築くことを重視しています。」
イタリアワインの伝道師
前半では、永瀬さんのキャリアを中心にお話をお聞きしてきました。
まさに、“イタリアワインの伝道師”と称される、素晴らしい経歴を積んでこられてきたことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
後半では、永瀬さんが飲食店向けに考案したワインペアリングの一例と今後の取り組みについてお伝えしていきます。